屋上階段にて

すきなひとの左手首が切れていた事故で切れていた彼は自殺願望など毛頭ない賢くて立派な人間だからことねちゃんみたいに自分でてくびを手首を切ったりしない。すきなひとの血を見ていると胸のあたりがギュッと小さくまとまって上に少し浮くような感覚がしたずっと見ていたい写真や動画に収めておきたいとさえ思ったすきなひとの血が好きだ私のと同じ色だからことねちゃんはいつも私に細くて青白い左手首にきのうの夜作った新しい血の線をこっそりみせた彼女はいつもごめんねとありがとうがミルフィーユになっているメールを私におくってきたし私が見ていたことねちゃんの血は緑色だった。すきなひとの血は赤色をしていて奇遇にも私も赤色をしていたからわたしはつい今日もうっとりしてしまった不謹慎ながらもヘマをして切れた傷口が愛おしくてたまらなかった。
愛おしくて愛おしくてたまらなかった
手首を切るならいっしょに献血にでも行きませんかと彼女に言ってあげられなかったことも
ミルフィーユのメールのことも

全部忘れてしまおうとおもった