わかることとわからないこと

高校生の男女が駅のホームで相撲を取っていてここは日本なんだって実感できた。リップクリームを忘れたからお家に帰りたいと伝えることができずにとうとう終電の一本前の時間になった。帰り道変なキーホルダーを申し訳なさそうに出して いりますか と言ってくれたのが可愛かったな。朝寒くて入れたはずのカイロをいま初めて触った冬なんだなと実感できた。パンクした自転車引きずって隣町の自転車置き場に捨てに行くみたいにいつも一緒に駅まで歩いてくれてなんでもいいからしやわせだった

屋上階段にて

すきなひとの左手首が切れていた事故で切れていた彼は自殺願望など毛頭ない賢くて立派な人間だからことねちゃんみたいに自分でてくびを手首を切ったりしない。すきなひとの血を見ていると胸のあたりがギュッと小さくまとまって上に少し浮くような感覚がしたずっと見ていたい写真や動画に収めておきたいとさえ思ったすきなひとの血が好きだ私のと同じ色だからことねちゃんはいつも私に細くて青白い左手首にきのうの夜作った新しい血の線をこっそりみせた彼女はいつもごめんねとありがとうがミルフィーユになっているメールを私におくってきたし私が見ていたことねちゃんの血は緑色だった。すきなひとの血は赤色をしていて奇遇にも私も赤色をしていたからわたしはつい今日もうっとりしてしまった不謹慎ながらもヘマをして切れた傷口が愛おしくてたまらなかった。
愛おしくて愛おしくてたまらなかった
手首を切るならいっしょに献血にでも行きませんかと彼女に言ってあげられなかったことも
ミルフィーユのメールのことも

全部忘れてしまおうとおもった

犬が寝てるそばで

あんな銘柄きみが教えてくれた以外聞いたことなかったほんとうだったな夜は黒なんかじゃないあの人がそうやってヘラヘラしながら態度で示すこんな日に会えるなんて夢みたいとか思ってしまうから私もジェーポップだ。将来のことを考えていると疲れるうまく生きていこうとするなとときどき胃の中の消化前の食べ物が話しかけてきて悲しくなる。私は本当はなにも考えていないから好きな人には私の腹を殴ってもいいから疲れてる顔するなとおもう。いつも大好きだから死んでくれとおもう。

下北沢の家賃

あの人にごめんなさいを言えてよかったな彼はミュージシャンになるよと言っていたわたしは絵描きになると言った前に就職を考えたことあるか?と聞いてしまったことを凄く反省したあの時返信を返してくれなくてありがとうね今日はいいライブを見た

二番にもなれないくせに


夜中の2時にツタヤにDVDを返しにいった
好きな人はあの子と結婚しないと聞いた

たくさん厚着をしてDVDだけ持って自転車を漕いでいたら涙が出てくる頭にパン生地みたいなのがはいっていてどんどん膨張している三日前までは馬鹿だから嬉しかったはずなのにはやくあの子と結婚しろと思った。私の中の生地膨らんで頭からフツ、フツ、と音がする嫌われないようにウザがられないように違和感のないようにしてきたけど本当に情けないな車道の真ん中を走ったり自転車を倒してとまれの上に座り込んだりしてあの飲み屋の店長がガラス越し呑気に手を振ってきたのをみたらわんわん泣いてしまった

ドラム式

夕方しか逢えないあの人は全自動洗濯機に愛を注いでるずっと順調な私のことを最近明るくなりましたねと褒めてくれて嬉しかった似てないモノマネも教訓みたいにきいてあげよう。優しくて面倒でお洒落着洗いみたいイヤホンが絡まっていても気にぜず音楽を聴くしきみのこと大好きでも顔も思い出せない私はスピード洗いみたいだ。ミントのガムを三ついっきにたべて鼻から深呼吸したらいっぱい涙が出た

ちょうちょみたい

夕方になっても家にいて、他人の絵のことについて考えていた。大切な何かを大事にしないから、どこに置いたかわからなくなってしまう。自転車のキーはいつも玄関に置いているのに絵を描いている理由をどこにやったのかずっと思い出せないでいる。「大きいキーホルダーをつけておけばよかったな」と声に出して言ってみたけど、全然笑えなかった。

 

成人式にはいかない。

 

中学生のころの私はいわばオールマイティだったんです。人とよばれるものすべてを、私は才能のように分け隔てなく愛していたし、阿呆みたいに挨拶をしていたヤンキー、教室の隅にいた子、カッターを振り回していた子すらみんなが友達だった。いわゆる“100人で食べたい、富士山の上でおにぎりを。”状態であった。

 

五月病は治らない。

 

中学生のころの自分を軽蔑しているかのように私は成人式にはいかない。「私、あんたらより少しは面白く生きてるとおもう。」なんて誰も聞いてないしだれも何も思わないようなセリフ、しゃっくりみたいに本当に出た。