いやなじかん

布団にはいってだんだん温かくなってくるころに時々胸のあたりにナイフが刺さるのを想像するああこれくらいの痛さかと覚悟ができたり今とあまり変わらないなとも思うその想像の痛さが眠るまでずっと続いてジワジワと体温が上がってゲボが出そうなくらい声を出して泣いてしまうこともある胸のあたりにナイフが刺さるのは猫にひっかかれるのと同じくらい痛い好きな人が銃を持った美少女のフィギュアばかり集めてることと同棲してることはどちらも同じくらい痛い布団の中は温かくて布団は軽くて黙ってるからむかつくなやだな私と同じ体温が閉じこもっていてむかつくから蹴ったら寒かった私はナイフが抜ける想像をしたことがないきっと刺さる瞬間よりも痛いしわからない

感想文の点数

知らないおじさんに何度も手を握られてヘラヘラ笑っていたジョークの一つも言えないから卒業式はやっぱりワンピースかなとかアコースティックギターはやく返してもらおうとかそんなことを考えて黙っているのが辛かったなうまく説明できなくて腹が立つから君と無理やり握手してこれでプラマイゼロだよね、あ〜、ゴム手袋をはめたような感覚のまま帰り道を逸れてコンビニに寄ってただ何も買わずにアイスケースのふちについてる霜を見たりエロい漫画の前を通って店を出て終電で帰った好きな本同じタイトルを二冊も持ってるいつか友達にあげようと思っていた大事なことはなんで一回しか言わないのかな国語の先生とめはねよりもっと大切なこと謙譲語よりもっと必要なことがあって「お金返して」って「ギター返して」ってどうやって言ったら悪い気しないのか教えてほしかった本当に大事なことは一回も言ってくれないって一回も言ってくれなかったな

みかん下さい

好きな人の二人暮らしの部屋のナイショゾーンにはエロいフィギュアが四体いてわたしはそれを見ながら黙々とミカンを口に運んでいた。考えれば考えるほどに絡まって解けなくなるのが夜だっていいブログに書いてあったのを柔らかい頭でちゃんと理解できていた。明日は彼女の誕生日で私は心から祝うことができた彼女が歳をとっていくのがうれしかったし私には若いということしか取り柄がなかった。テレビではチンアナゴとニシキアナゴの産卵風景の撮影成功を祝したニュースが流れててただ音がうるさいなと思った。私はエロいフィギュアしか見てなかったし君のニュースが知りたいだけだった。

生理

機嫌が悪くって理由なんてなくてでもちゃんとわかっていて順番になってるものがバラバラだと不安になっちゃって手が乾燥しちゃうと悲しくてバイトが毎日あるのが辛くておうちに帰れないのが嫌だった今日は変でマラソンの時いつも過呼吸になるあの子のことや昨日買ってくれたあんドーナツのこと思い出したあたしの目の前で手をヒラヒラさせて意識を確認してくれたとき少し味がした油絵の具の味もした土星の輪っかの話も思い出した土日の予定を教えあいたい過呼吸の子の気持ちがわかるようになった大っ嫌いだったらなちゃんが保健委員のあたしのことを飾りとしかおもってなかったことだって全部思い出した

面倒だっただけだよ

彼女のブログを読みながらうん うん 頷いて帰る暗い夜道にいいことが落ちてたって気付かない自信があった。大切にしている人ほどなんでいつも大嘘つきだと告白してしまうのかないつもあの子はうつくしいのにうつくしいだけなのに。食べ放題にいっていつもライチを肘までビショビショになるまで食べるのはもうやめなよってそんなこと言わせてごめんね。生理痛のことは聞かないでいていぬのきもちもねこのきもちもいらないからずっとこのままでいようね。

やだ

チェーンのリサイクルショップにあるソフトビニールの高騰の話したって大人と子供のものさしを使うから だから君には私の価値がわからない。トレンドの服とかキラキラ光る魔法の薬指少しエッチな少女漫画のことちゃんと考えてそれでもやっぱりこれしか分からなくていつも肩すくめてヘラヘラしてる。あの人の好きそうな女にはなりたくないなもっともっと下世話に生きようよラジオ体操を暇なときに踊るな。

預金通帳


私就職に向いてるとおもうんですよねって話をしたら前髪切ったよねって言ってくれた変わったことしたくない毎日学校いってバイトして家に帰ってDVDか漫画かゲームを選ぶそれだけの選択肢しか生きてる上で必要ないんだよね友達と遊ぶのだってあんまりしないしギャラリーにいくのも正直ダルい、あ〜、ほんと、君もそうでしょう、そういうところが好きだった。憧れの人の底力をあんなにしっかりみせてくれたのに預金の数字は頭に入ってこなかったそれよりこれはゼクシィなの?こんにゃくなの?たくさんゼロが並んでた社会人の十万貯金 、ええ、そう、好きなんですよ私、前髪切ってないのに切ったよねっていうなよ